養育費の「先取特権化」とは | 法律コラム | 個人のお客様に特化した弁護士法人 世田谷用賀法律事務所

 

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2026.01.20 | Vol.313

養育費の「先取特権化」とは

改正のポイントをわかりやすく解説

こんにちは。

弁護士法人世田谷用賀法律事務所です。

 

令和6年5月民法改正で、共同親権制度の導入が決まり話題となりましたが、養育費制度についても重要な法改正が2点されています。


①養育費債権の先取特権化

②法定養育費制度の導入について


今回はこの①について解説いたします。

 

そもそも「先取特権」とは

先取特権とは、

ある特定の債権について、

他の債権者よりも優先して弁済を受けられる権利

のことです。

 

通常、債務者の財産を差し押さえた場合は、原則として債権者は「平等」に配当を受けます

 

これが債権者平等の原則です。

 

しかし、社会的に特に保護する必要がある債権については、この原則の例外として「先取特権」が認められています。

 

養育費の「先取特権化」とは何か?

今回の民法改正により、一定の養育費債権に「先取特権」が付与されました。

 

これは、

 養育費が子どもの生活・成長を直接支えるものであり、債務者本人のための債務とは性質が異なる 

という点が重視されたためです。

 

<ポイント>

① 養育費は「大人同士の貸し借り」ではない

②子どもの生存・教育に直結する費用

③支払いが滞ると、影響を受けるのは子ども

 

このため、一般の金銭債権よりも優先的に回収できる仕組みが導入されました。

 

債権者平等の原則との関係

① 債権者平等は「絶対」ではない

 

債権者平等の原則は、民法上の重要な原則ですが、

もともと無制限に貫かれるものではありません。

 

実際にも、すでに以下のような例外があります。

 • 労働者の賃金債権

 • 税金(国税・地方税)

 • 共益費用

 

養育費の先取特権化は、これらと同じく政策的に認められた優先です。

 

② なぜ養育費が優先されるのか

 

養育費が優先される理由は、主に次の点にあります。

 1. 子どもは債務者の支払い能力に関与できない

 2. 不払いの結果を子どもが一方的に負担する

 3. 国家として子どもの健全な成長を守る必要がある

 

つまり、

「債権者同士の公平」よりも

「子どもの生活保障」を優先した

という価値判断です。

 

先取特権が付くことで何が変わる?

改正前

 • 養育費について公正証書等がない場合

 • 他の債権者と同列、または差し押さえ自体が困難

 

改正後

 • 一定の養育費債権について

 • 先取特権に基づき優先的な差し押さえ・回収が可能

 • 他の一般債権者より先に配当を受けられる

 

ただし、

 • すべての養育費が無制限に優先されるわけではなく

 • 金額や範囲には法令上の制限(※)があります

 

※現在(2025〜2026年時点)の民法改正による養育費債権の「先取特権」付与について、法令上の制限金額(上限)として検討されているのは次のとおりです


① 先取特権の対象となる上限額(省令案)

改正民法では、養育費債権に先取特権が付与されることになっていますが、

その優先的に差し押さえ・回収できる金額の上限は次のように検討されています


②子ども1人あたり月額8万円まで

この金額までの養育費債権について、他の債権者より優先して強制執行(差し押さえ)が可能になる予定です。 

 

つまり、

 • 養育費が未払いになった場合

 • 合意書などを基に裁判所に強制執行を申し立てた時

 • その「差押対象の範囲(優先的に回収できる範囲)」は月額8万円まで(子ども1人ごと)


という上限が設けられる方向で検討されています 。

 

他の債権者への影響は?

当然ながら、他の債権者にとっては「配当が減る」可能性があります。

 

しかし立法は、

 • 養育費はそもそも「生活費として最優先で支払われるべきもの」

 • 支払義務者は養育費を前提に生活設計をすべき

 

という考え方を採用しています。

 

言い換えると、

養育費を払えない状態で他の借金をすること自体が問題

という価値判断が背景にあります。

 

実務上の注意点

 • 先取特権が付くのは一定の養育費債権のみ

 • 差し押さえできる金額には上限あり

 • 具体的な運用は今後の省令・裁判実務の蓄積が重要

 

したがって、「必ず全額回収できる」と誤解しないことが大切です。

 

 

現段階の省令案(法務省が示した数値)であり、正式な法令(省令)として確定するまで変更される可能性があります。 

 

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