COLUMUN
法律コラム

代表弁護士の水谷です。
世の中で注目されている時事問題について、法律に関わる部分で解説したいと思います。
福原愛さんが、子どもの監護の件で、元夫と「共同親権」で和解したことが報じられました。
これは、今回新たに「共同親権」で和解したものではない点、ご存じでしたでしょうか。解説いたします。
(共同親権:現在は父母どちらかにしか認めていない離婚後の親権者について、父母の協議により双方かその一方かを決めること)
台湾は1996年から共同親権を導入
台湾は、1996年に離婚時の共同親権を導入していました。
台湾民法は、日本と同様ドイツ民法を継ぎ、また日本民法からも一部を取り入れたことで、日本民法と類似している点も多いといわれます。
そんな台湾は、日本よりはるか前に、共同親権を導入していたのでした。
ですから、福原さんは2021年中の離婚において、すでに「共同親権」を取り決めていたわけです。
共同親権の実問題
共同親権とはいえ、夫婦が一緒に暮らさないのですから、子どもは父母どちらかと一緒に暮らすことにならざるを得ません。
共同親権とはいっても、実際問題「子供がどこで暮らすか」、つまり「主たる監護権」の所在は、別途取り決めないといけません。
福原さんは、子どもの監護の取り決めに反して台湾から日本に連れて帰ったことから、問題視されたものですし、子どもの返還が日本の家庭裁判所で命じられたのも、もともとの取り決めに従ったものに過ぎないとされています。
日本で共同親権が導入されたとしても、実際どちらがどのように監護するか?の取り決めは、きちんと行われなければ、福原さんと同様の問題は、日本でも起き続けることになります。
想定されるパターン
では、監護の取り決め方としてはどのようなものがあるでしょうか。
共同親権とはいえ、実際に子どもはメインとしては父(母)のもとにいて、週1回なり月1回なりの一定のペースで母(父)が面会交流するパターン。これが従来型の延長としては考えられます。
共同親権である以上、できる限り平等にやろうとするパターン。
月~水が父(母)、木~日が母(父)とか、平日が父(母)、週末が母(父)のようにするやり方もあれば、学期中は父(母)のところにいて、長期休暇は長期間母(父)のところで過ごさせるようなやり方もあります。
監護の取り決めと新法
問題はこの取り決め、どうやってやるのか…
近時は、日本でも「共同監護」の考え方が進んでいますから、いわゆる面会交流の調停や協議の事案でも、どれだけ平等に子を育てるか、という監護のレベルで問題となることがあります。
そして、その都度、なかなか話し合いの折り合いはつかないもの。
共同親権が導入されたからといって、この話し合いが俄かにうまくいくとは到底考えられません。
改正民法につながる1月30日の要綱案では、共同親権の場合の子の監護の在り方として、「離婚後の子の監護に関する事項の定め」が定められています。これによれば、
①共同親権の場合には、父母の一方を主たる監護者とする定めは必須ではないものとされます。
②そして、離婚後の子の監護に関する事項の定め(民法766条1項)に関して、「子の監護の分掌」が加わります。
③関連して、家事事件手続法(154条ほか)を改正し、給付命令等の規律が整備されます。
当たり前ですが、結局、父母のどちらが週のうち、または月、年のうち何日子どもを引き取るのかについて話し合いがつかない場合に、実際誰がどのような基準で決めるのか、決めるとして、どうやって執行するのか…については、まだまだ未確定のままです。
手続法の規定が整うのかのみならず、またこれを解決するだけの家庭裁判所のマンパワーにも課題はあるでしょう。
今後の動向が注目されます。
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