COLUMUN
法律コラム

代表弁護士の水谷です。
世の中で取り沙汰されている時事問題について、法律に関わる部分で解説したいと思います。
6月に入り、有名女優の「W不倫」が世の中を賑わせています。
W不倫とは、不倫の当事者の両方に配偶者がある場合をいう俗語です。
「芸能人だからかな…?」と思われる方もいるかもしれませんが、案外、われわれ街の法律事務所にとっても「よくあるご相談内容」です。
不倫の法律相談といえば、慰謝料の相談になることが多いのですが、特に、「W不倫」の時に気を付けなければならないことは、どんなことでしょうか。解説していきたいと思います。
W不倫が発覚した時、慰謝料請求で注意すべき「求償」について
例えば、A夫妻と、B夫妻がいたとします。
A夫とB妻の不貞関係が発覚し、A妻がB妻に対して慰謝料請求をするとします。
そうすると、これをきっかけに「それならこちらも」と、B夫側からもA夫に慰謝料請求されることがあり得ます。
「(不倫はあったが)家庭は維持してこれからも一緒にやっていこう」という場合には、これでは金銭が行き来するだけになってしまいますので、注意する必要があります。
また、仮にB夫からの慰謝料請求がなくても、B妻がA妻に100万円を支払ったとして、B妻がその半分の負担をA夫に求めた場合、(これを「求償」といいます。本来慰謝料の支払い義務は不倫した二人で連帯して負担するという考え方から、一方が全額を払ったときは理論的にはその半額を不倫相手に求めることができることになります)、A夫妻の家計としては100万円が入り50万円が支払われたことになるので、結果50万円が入っただけとなります。
不倫慰謝料請求の場合で、結婚生活を維持する場合は、常に「求償」のことを注意する必要があります。
慰謝料請求=関係をやめさせること、の強制力にはならない現実
慰謝料請求の目的は「お金を払ってほしい」というのではなく、「関係をなんとかやめてほしい」というものであることがほとんどです。しかし、慰謝料を支払わせること=直ちに関係をやめさせること、にはつながりません。
そのため、慰謝料をめぐる示談(和解)の場合、「もう二度と会わない」という誓約条項や、「もう一度会ったら●万円」のような違約金条項を入れることもあります。
「この誓約は強制力がありますか」というご質問を受けることが多いのですが、たしかに、違約金の定めを置くことはでき、違反したら違約金の対象とはなり得ますが、これをもって「強制力」といえるかはちょっと疑問です。
詰まる所、「会わない」という誓約は人と人の間の約束であって、「会う」「会わない」ということを強力に「国家に禁止してもらうようなこと」はできず、あくまで違反した場合に金銭支払い義務を課するのが精いっぱいだからです。
その意味では絶対的な強制力はないのだということになります。
W不倫の進む先には…若い夫婦の例
以前、「お金がとりたいわけでもない。ただ関係をやめてほしいだけ。でも本当にやめてくれるかどうか…」と悩まれた若いご夫婦同士「W不倫の」ご相談がありました。
その際、双方の夫婦で四者合意を作り、「お互いもう会わない」「お互い請求しない」と取り決めたものがありました。
その後、このご夫婦たちがどうなったかは知ることができません。
冒頭の芸能ニュースとは異なり、このご家庭は、双方が落ち着いた家庭に戻られていることを祈ります。
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